世界遺産 ポン・デュ・ガール
夏の終わりを告げるように、蝉の鳴き声も、心細く感じます。
吹く風もどことなく秋の気配がして、過ぎ行くこの夏を回顧しています。
8月は不定期で更新してきましたが、暑い中、更新を楽しみにご覧になっていただいたお客様も多く、最後までお付き合いいただいたこと、心よりお礼を申し上げます。
南仏プロヴァンスの買付けの旅もいよいよ終わりに近づきました。
私達がプロヴァンスを去る最後に訪れたのは1985年に世界遺産に登録されたポン・デュ・ガール。
ニームとアヴィニョンの中間あたりの深い谷を流れるガルドン川にかかっている石の橋です。
ニームに飲料水を送っていたという全長50kmの導水路の一部で、ガルドン川を越えて水を運ぶため、この水道橋が建築されたのです。
ローマ人の建築技術は驚くばかりで、実用的な面だけでなく、3層からなるアーチは上層が小さくなり、建築物そのものの美しさを充分、考慮して造られています。
ここにきて初めてローマ人の建築技術の素晴らしさを、目のあたりに見た思いでした。
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日本と南フランス、本当に遠いです。そして橋の上に立ちながら、ずいぶんと遠くに来たものだと思いました。この仕事をしていなければ、たぶんこの橋の上に立つこともなかったことでしょう。
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一つ一つの石を積み上げて造った橋、そんな世界遺産がフランスには30以上あります。人間の力は大きく、力を合わせれば、どんなことでも成し遂げられること。
私はこの旅で、これからの人生の道しるべを学んだような気がします。