無償の愛「レ・ミゼラブル」
かねてから話題になっている映画「レ・ミゼラブル」を見に行った。
舞台のヒット・ミュージカルを【英国王のスペーチ】のトム・フーパー監督が映画化した作品で、
せりふはミュージカル調で、熱唱するヒット・ナンバーはバックに流れる音響効果により、見ている人を感動させる。
私は過去にDVDか映画で、この作品を見たことがありますが、そちらの方が原作により近いものでした。
三時間と長い放映時間でしたが、さほど長いとは思いません。
ビクトル・ユゴーの傑作「レ・ミゼラブル」は日本では「ああ無情」で翻訳されています。
パン1個を盗んだために、19年間も徒刑場で鎖につながれ、憎しみだけで生きるようになった主人公ジャン・パルジャン。
ジャン・パルジャンに対して、一度罪を犯した者は永遠に呪われるという「法の正義」を体現するのが、
出獄後も執拗に追い回すジャンベール警部。
二人のかけ引きが「愛が勝つか法の正義が勝つか」この作品の見どころでもあるのでしょうが、
愛を受け取ったことがない惨めな人々を救うために、無償の愛を与える《だれか》
かってはその《だれか》はイエスであったはず。しかしイエスへの信仰が衰えた現代にあっては
《だれか》は《あなた》だと問いかけているのではないでしょうか。
そして、過去のことを話せないでいるジャン・バルジャンが
「人には聞くことも話すことばもない時がある」とつぶやいた言葉が私には印象的でした。
自分がよかれと思っていることも人を傷つけることもあるってこと。
また心の悲しみが大きいほど無口になり、聞く耳も話すことさえできなくなること。
私達のまわりには、そんな人もいるはず。
ユゴーがこの作品で人類に訴えようとしたメッセージとは?
私もその答えを考えています。